日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
症例報告
孤立性脳転移に対して手術を施行した直腸癌の1例
片山 晃子小関 萬里富永 春海清水 洋祐
著者情報
キーワード: 大腸癌, 脳転移, 外科的切除
ジャーナル フリー

2009 年 62 巻 1 号 p. 55-59

詳細
抄録

症例は70歳男性.直腸癌(Rb)に対して低位前方切除術を施行した.直腸癌は中分化腺癌,pA2, pN0, v3, ly1, H0, P0, M(-): stage IIであった.術後12カ月間,補助化学療法としてUFT-LV療法を施行した.術後13カ月目にふらつき·嘔気が出現した.頭部MRIで,右小脳半球に境界明瞭な約3cm大の腫瘤を認めた.全身精査で他臓器転移は認められなかった.頭蓋内病変は1カ所のみであり,孤立性脳転移と診断した.脳外科で腫瘍摘出術を施行した.脳腫瘍は組織学的には腺癌で直腸切除標本と類似し,直腸癌脳転移と診断した.ふらつきなどの神経症状は術後軽快した.脳切除後に全身化学療法としてUFT-LV療法を再開した.転移性脳腫瘍術後20カ月現在,無再発生存中である.

著者関連情報
© 2009 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top