日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
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特集 主題 II:痔瘻術後の再発を考える
VI.解剖·病態に則した後方複雑痔瘻のスタンダード手術
栗原 浩幸金井 忠男石川 徹金井 慎一郎張 文誠金井 亮太
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2009 年 62 巻 10 号 p. 879-885

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抄録

病態:後方複雑痔瘻の原発口は通常後方正中の肛門小窩である.1次瘻管は内括約筋を頭側に斜走して原発巣に至る.原発巣は肛門後方正中部で,上方を腱様の恥骨直腸筋,底部を内括約筋,下方と側方を外括約筋に囲まれた部位である後方深部隙に存在する.後方深部隙の膿瘍の圧が高まると外側の坐骨直腸窩に膿瘍は進展する.坐骨直腸窩は坐骨直腸窩中隔によって高位と低位に区分され,膿瘍が外括約筋を深いところで貫くと高位,浅いところで貫くと低位坐骨直腸窩に至る.手術:後正中部で縦方向の皮切をおく.浅および深外括約筋の一部を切離し原発巣に直視下に到達する.原発巣の手前側外壁を切除するように原発巣を開放する.坐骨直腸窩に達する2次瘻管を切除あるいは掻爬する.内括約筋を温存するように1次瘻管を手前側に開放,原発口より外側の内括約筋と皮下外括約筋を切除し原発口を開放する.原発口開放部周辺の痔核切除などを行い,手術を完了する.

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© 2009 日本大腸肛門病学会

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