2009 年 62 巻 7 号 p. 461-465
目的:下部直腸癌に対する側方リンパ節郭清の適応の指標とする目的で,Air注腸CTでの下部直腸癌の深達度T3以深を示す所見を明らかとし,診断精度を評価した.対象・方法:当科での下部直腸癌167例中,術前にAir注腸CTを施行した113例を対象.病理学的深達度がT3以深とT2以浅の2群に分け,CT画像における,(1)腸管壁の辺縁凹凸不整,(2)腸管壁の肥厚,(3)ケバ立ち,(4)鋸歯状変化,(5)腫瘍径,(6)環周率の6項目を比較検討した.結果:病理学的深達度がT3以深63例,T2以浅50例であった.単変量および多変量解析では,(1)腸管壁の辺縁凹凸不整,(3)ケバ立ちの2項目が深達度T3以深を示す因子として選択された(p<0.05).(1),(3)の所見を有する症例のAir注腸CTにおける深達度T3以深の正診率は,87.6%,89.4%であった.結論:Air注腸CTは下部直腸癌の術前深達度診断に有用であることが示唆された.