日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
症例報告
免疫染色にて原発部位が同定し得た腫瘤形成粘液嚢胞腺腫の1例
藤本 浩一大西 始山本 康久大西 長久大西 信行大西 博
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 62 巻 8 号 p. 516-521

詳細
抄録
比較的稀な虫垂粘液嚢腫には,粘液嚢胞腺腫と嚢胞腺癌があり,腹膜偽粘液腫の一因として知られる.今回我々は,回盲部腫瘍の診断で,虫垂·卵巣を含め一塊に外科的切除し,原発部位を免疫染色から同定し得た虫垂粘液嚢胞腺腫の一例を経験したので報告する.症例は77歳の女性,排便異常を主訴に当院受診し,大腸内視鏡下に虫垂根部に隆起性病変を認めた.腹膜偽粘液腫は発症していないものの,諸検査の結果より,虫垂粘液嚢胞と判断し手術した.
切除標本は虫垂と卵巣が一塊となっており,肉眼的には原発巣の同定は困難であったが,免疫染色CK7,CK20,MUC1,MUC2を用い,病理組織学的に虫垂原発の粘液嚢胞腺腫と診断された.腹膜偽粘液種の原発巣同定,治療方針決定などに大いに役立つものと考えられる.
著者関連情報
© 2009 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top