日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
基礎疾患のない患者に発症した急性出血性直腸潰瘍の1例
速水 克板橋 道朗小川 真平廣澤 知一郎橋本 拓造岡村 悟亀岡 信悟
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2010 年 63 巻 8 号 p. 504-508

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抄録

症例は41歳男性.既往歴に特記すべき事なし.1週間程前より黒色便を認めていたが放置していた.2009年9月下旬,鮮血下血を主訴に救急外来受診.嘔気や腹痛などの腹部症状は認めなかった.同日施行した下部内視鏡検査では下部直腸3時方向に出血源を疑う病変を認めたが,観察時自然止血されており経過観察入院とした.入院第2病日,再度下血を認めたため内視鏡検査を行ったところ,下部直腸に露出血管をともなう深掘れ潰瘍を認め,経肛門的に縫合止血術を施行した.止血術後,第9病日再下血を認め再度の経肛門的縫合止血術を施行した.術後は経過に問題なく第24病日退院となった.急性出血性直腸潰瘍(AHRU)は長期臥床の高齢者に多く発症するとされるが,今回我々は基礎疾患のない壮年男性に発症した出血性直腸潰瘍を経験した.AHRUには病因・病態を考慮する上で従来の概念に当てはまらない広義のAHRUがあり,今後疾患概念の確立が必要である.

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© 2010 日本大腸肛門病学会

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