日本大腸肛門病学会雑誌
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原著
本邦における便失禁診療の実態調査報告―仙骨神経刺激療法の適応に関する検討―
味村 俊樹山名 哲郎高尾 良彦積 美保子遠藤 智美勝野 秀稔松岡 弘芳大毛 宏喜角田 明良吉岡 和彦貞廣 荘太郎前田 耕太郎
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2012 年 65 巻 3 号 p. 109-117

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抄録

目的:多施設共同による本邦における便失禁診療実態調査に伴って,仙骨神経刺激療法(sacral nerve stimulation,以下SNS)の適応に関して検討した.方法:2009年の1年間に便失禁を主訴に9施設を初診した患者を対象に, SNSの適応に関して調査した.結果:対象症例は293例で,女性214例,初診時平均年齢65歳であった.266例(91%)に何らかの治療が行われ,症状改善率44~93%と,ある程度良好な成績をおさめていた.しかしそれでもSNSの適応に関して,「良い適応」8例,「適応になるかも知れない」73例と合計81例(28%)に,更なる治療としてSNSの適応ありとされていた.適応ありとした理由は,「現在の治療法では症状の改善が不十分だから」が47%,「SNSの効果に期待するから」が38%であった.結語:多くの症例に検査や治療が行われていたが,症状改善が不十分でSNSの効果に期待する症例が28%いた.今後,本邦へのSNSの導入・普及によって便失禁治療の選択肢が拡がることを期待する.

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© 2012 日本大腸肛門病学会

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