日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
症例報告
膀胱,腟浸潤を伴った壁外発育型直腸粘液癌の1例
黒田 雅利池田 英二吉富 誠二
著者情報
キーワード: 壁外発育型, 粘液癌, 直腸癌
ジャーナル フリー

2012 年 65 巻 8 号 p. 431-436

詳細
抄録

大腸癌は通常内腔に発育する.しかし,稀に壁外に特異的に発育する大腸癌を認め,壁外発育型大腸癌と呼ばれている.われわれは壁外発育型直腸粘液癌を経験したので報告する.症例は57歳,女性.不正性器出血を主訴に婦人科を受診し直腸癌腟浸潤が疑われ紹介となった.下部内視鏡検査では肛門縁より8cmに2型腫瘍がみられ,CT,MRI検査では上部直腸に8×6cm大の腫瘍を認め,膀胱後壁および腟浸潤が疑われた.直腸癌,膀胱腟浸潤を疑いHartmann手術,膀胱部分切除術,腟合併切除術を施行した.病理検査はmuc,AI,N0,H0,P0,M0,Stage IIであった.術後第20病日に軽快退院し,stage II,High RiskでありXELOXを6ヵ月間施行した.術後17ヵ月経過するが再発なく通院中である.壁外発育型大腸癌は局所進展傾向は強いが,転移能は比較的低い病態であり,積極的な外科的治療が重要であることが示唆された.

著者関連情報
© 2012 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top