2014 年 67 巻 7 号 p. 437-441
目的;大腸癌治癒切除例で術中に採取された腹水細胞診の臨床的意義を明らかにする.
対象と方法;1998年から2010年に大腸癌治癒切除例で術中腹水貯留を認め腹水細胞診を行った78例につき,臨床病理学的因子および再発と予後につき統計学的に検討した.
結果;Cy0:72例(92.3%),Cy1:6例(7.7%)であった.臨床病理学的因子の各項目について,Cy0とCy1の間に有意差を認めなかった.再発については,腹膜再発にのみ有意差があり,全再発や,無再発生存率,全生存率には有意差が認められなかった.
結論;Cy1は予後因子とはならなかったが,腹膜再発の予測因子であり,臨床的判断において意義があると考えられた.