2017 年 70 巻 2 号 p. 49-56
目的:腹腔鏡下直腸癌術後縫合不全におけるC反応性蛋白(CRP)値の有用性を検討した.当院では術後3日目に食事を再開,4日目に吻合部ドレーンを抜去しており,CRP値が抜去基準として有用か検討した.方法:2010年1月~2015年6月の腹腔鏡下直腸癌手術108例を,縫合不全非合併群(N群)97例と縫合不全合併群(AL群)11例に分け,術後白血球数(WBC),CRP値を比較した.結果:術後3日目のWBC,術後1,3,6日目のCRP値がAL群で有意に高値だった(p<0.05).ROC曲線下面積は術後3日目のCRP値0.87(95%CI:0.77-0.98)で最高値,カットオフ値は10.1mg/dl(感度73%,特異度87%,陽性的中率38%,陰性的中率97%)だった.結語:術後3日目CRP値は陽性的中率は低いが,陰性的中率は高く,縫合不全を否定しドレーン抜去時期の基準として有用である.