日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
虫垂粘液性腫瘍の診断で摘出された虫垂子宮内膜症の1例
井原 啓佑山口 悟志田 陽介藤田 純輝横山 悠尾形 英生黒田 一加藤 広行
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2017 年 70 巻 2 号 p. 73-77

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抄録

48歳女性.排便時出血の主訴で前医を受診し,下部消化管内視鏡検査にて虫垂口に発赤を伴う粘膜下腫瘤を認めた.CT,超音波検査でも嚢胞性病変が指摘され,虫垂粘液嚢腫の診断で腹腔鏡下回盲部切除術(D2)を施行.病理組織学的検査にて虫垂子宮内膜症の診断となった.虫垂粘液嚢腫の所見を呈する疾患として,虫垂粘液腺腫,虫垂粘液嚢胞腺癌のほかに非腫瘍性嚢胞が含まれる.上記疾患は画像上否定することは困難であり,多くの場合で診断・治療目的に手術が行われることが多い.本症例のように虫垂子宮内膜症を原因とした虫垂粘液腫の可能性もあり,術前の鑑別診断として考慮する必要があると思われた.虫垂子宮内膜症による虫垂粘液腫はこれまでにほとんど報告がなく,医中誌で検索しえた限りで本邦では5例のみであった.若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2017 日本大腸肛門病学会

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