2017 年 70 巻 7 号 p. 469-474
症例は70歳代女性,2型糖尿病にて外来加療中に食欲低下を主訴に来院した.CTにて上行結腸背側に重複腸管が疑われ,下部消化管内視鏡検査にて上行結腸癌と診断され当科紹介となった.腸管重複症に発生した上行結腸癌との診断にて結腸右半切除術を行った.腫瘍は漿膜面へ達しており壁深達度はT4aと考えられた.また上行結腸より腸間膜側に並走する管状の重複腸管を認めた.病理組織学的所見では上行結腸と連続した筋層を共有している重複腸管を認め,重複腸管由来の上行結腸癌A, Type2, 40×25mm muc>tub1>por2, pT3, int, INFb, ly1, v1, pN1(3/19), sH0, sP0, cM0, fStage IIIaと診断された.術後補助療法としてCapeOXを8コース施行し,現在術後2年無再発生存中である.腸管重複症は幼少期に多いとされ,重複腸管の成人発生例は稀である.今回,成人において偶然発見された腸管重複症から発症した上行結腸癌を経験したので報告する.