日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
糖質コルチコイド療法を併用した大腸癌化学療法中にニューモシスチス肺炎を発症し死亡した1例
柿添 学中嶌 雅之鳥谷 建一郎藤原 大樹杉政 奈津子河崎 勉熊谷 二朗
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2018 年 71 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

症例は67歳女性.再発大腸癌に対する2次治療としてFOLFIRI+Bevacizumab療法を施行していた.2017年10月,全身倦怠感と食思不振に対してデキサメタゾン(以下,DEX)4mg/日を開始した.2週間後,症状軽快したため化学療法を再開した.さらに4週間後,呼吸困難と発熱を主訴に当科外来を受診した.DEXを長期内服中であったことからニューモシスチス肺炎(以下,PCP)が強く疑われ入院となった.ST合剤とステロイドハーフパルス療法で治療を開始し,入院2日目に採取した気管支肺胞洗浄液の検鏡およびPCR定量いずれもPneumocystis jiroveciiが検出されPCPと確定診断した.入院4日目に急激な呼吸状態の悪化を認め,最終的に入院13日目に死亡退院した.大腸癌化学療法患者への糖質コルチコイドの投与はPCP発症リスクがあり注意が必要である.

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© 2018 日本大腸肛門病学会

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