日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
緩下剤の内服を契機に所見が顕在化したS状結腸間膜内ヘルニアの1例
中島 隆善仲本 嘉彦赤塚 昌子楠 蔵人光藤 傑岡本 亮木村 文彦相原 司柳 秀憲
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2019 年 72 巻 1 号 p. 8-12

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抄録
症例は51歳,女性.開腹歴はなく毎年の健診の消化管内視鏡検査で異常は指摘されていなかった.1ヵ月以上前から便秘と下腹部の違和感を自覚,症状は緩解と再燃を繰り返し,近医を受診するも腹部所見および腹部レントゲン検査で異常を指摘されず経過観察となっていた.便秘に対し自宅に保管していた緩下剤を内服したところ嘔気,腹痛が出現,イレウスの疑いで当院紹介となった.イレウス管での減圧を行い,入院2日後に緊急手術を施行した.S状結腸間膜内ヘルニアと診断し,腹腔鏡補助下に陥頓した小腸の部分切除を行いヘルニア門は腹腔鏡下に縫合閉鎖した.S状結腸間膜内ヘルニアは比較的まれな疾患でその診断には苦慮する場合があるが,多くは急性発症であり亜急性の経過をたどることは少ない.今回,緩下剤の内服を契機に小腸が嵌頓したために所見が増悪,顕在化したと考えられたS状結腸間膜内ヘルニアの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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© 2019 日本大腸肛門病学会

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