症例報告
初回手術後6年目に再発をきたした直腸肛門部悪性黒色腫の1例
2019 年 72 巻 3 号 p. 106-111
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2019 年 72 巻 3 号 p. 106-111
症例は59歳女性．直腸肛門部悪性黒色腫に対し，前医で経肛門的腫瘍切除術が行われた．追加治療として当科で拡大局所切除術および化学療法を行った．病理検査では悪性黒色腫の遺残，メラノサイトの異型を認めなかった．初回手術後6年9ヵ月目に下血にて再診，下部消化管内視鏡検査にて黒色調の隆起性病変を認め，悪性黒色腫の再発と診断された．腹会陰式直腸切断術，2群リンパ節郭清を行った．化学療法は行わず経過観察を行ったが，再発手術後6ヵ月目のCTにて多臓器転移が認められた．切除標本でBRAF変異を認めなかったため，抗PD-1抗体であるNivolumabによる治療を開始した．4コース施行後のCT検査にて腫瘍の増大を認め，Progressive diseaseと判断された．初回経肛門的腫瘍切除術後8年5ヵ月，再発手術後1年5ヵ月で永眠された．直腸肛門部悪性黒色腫の長期生存例は稀であり若干の文献的考察を加え報告する．
