日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
右側結腸と左側結腸の双方に高度な炎症所見を呈した腸管出血性大腸菌O157腸炎の1例
山中 伸一横山 泰久
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2019 年 72 巻 3 号 p. 122-127

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抄録

症例は23歳男性.バーベキューで生焼けの豚肉類を摂食した7日後に血便と下腹部痛を主訴に当院に緊急入院した.腹部CTでは上行結腸,右側横行結腸,S状結腸に腸管壁肥厚像と骨盤腔に少量の腹水貯留を認めた.全大腸内視鏡検査では,粘膜出血,血管透見像の消失,びらんの散在を上行結腸,右側横行結腸,S状結腸に認めた.S状結腸では著しい浮腫状粘膜と管腔狭小を認め,虚血性腸炎の像に類似し,病理像では急性期の虚血性変化を認めた.便培養では腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)O157とVerotoxin(VT)2型が検出された.自験例では左側結腸にも右側と同等の高度な炎症所見がみられ,その理由は不明ながらも,右側の高度な出血性腸炎に伴う全身炎症状態が左側の微小血管障害を引き起こした可能性は否定できないものと思われた.

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