日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
エストリオール錠が有効であった直腸癌術後難治性直腸膣瘻の1例
佐々木 貴浩古畑 智久小野 龍宣野田 顕義宮島 伸宜大坪 毅人
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2020 年 73 巻 1 号 p. 42-46

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抄録

直腸癌術後の難治性直腸膣瘻に対し,保存的治療で治癒した症例を経験したので報告する.症例は40代女性.直腸癌に対し,腹腔鏡下低位前方切除術,Double stapling technique(DST)吻合を行った.術後,縫合不全認め,回腸人工肛門造設術施行.人工肛門閉鎖のための精査で直腸膣瘻と診断.経膣的瘻孔閉鎖術,経膣的瘻孔切除閉鎖術,内視鏡的クリップ閉鎖術,瘻孔内への組織接着剤注入を施行も効果なく,診断から3年後にエストリオール錠内服開始したところ,4ヵ月目の下部消化管造影検査で瘻孔は消失.5年目に人工肛門閉鎖術を施行.経過観察で直腸膣瘻の再発は認めていない.

本剤内服は非侵襲的で直腸膣瘻の治療選択肢の1つと考えられた.

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© 2020 日本大腸肛門病学会

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