2020 年 73 巻 8 号 p. 361-367
【目的】腸間膜静脈硬化症(mesenteric phlebosclerosis,以下MP)の大腸超音波(US)所見を調査し,MP発症のスクリーニングとしてのUSの臨床的意義を検討した.【方法】当施設でUSによるスクリーニングで発見された無症状のMP3例と,前回報告した1例も含めたMP4例のUS所見をCT所見と比較した.【結果】4例とも無症状であったが,US・CTの両者で結腸壁肥厚が描出された.USでの肥厚壁の層構造は2例にみられ,層構造不明瞭な肥厚もみられた.全例にハウストラの消失と壁内の粒状~線状高エコーが観察された.壁外の石灰化を検査時に指摘するのは困難であった.【結語】非侵襲的で簡便に施行できるUS検査はMP発症のスクリーニングとして有用であることが示唆された.