2020 年 74 巻 1 号 p. 1-5
目的:大腸癌化学療法における中心静脈ポート(以下,ポート)関連静脈血栓症の頻度,臨床因子との関連を明らかにする.対象と方法:2010年4月~2019年12月までに当科で大腸癌化学療法のためにポート留置を施行した282件を対象として,臨床因子と静脈血栓症との関連について検討した.結果:静脈血栓症は17件(6.0%)で認められ,ポート留置期間中央値は6.6ヵ月(1.3~59.4ヵ月)であった.留置回数,血管新生阻害薬の使用,手術時間,術者は関連を認めなかった.女性で静脈血栓症が有意に多かった(P=0.019).左右の留置部位には有意差はないものの(P=0.084),全17件が左鎖骨下静脈留置例であった.結論:ポート関連静脈血栓症は治療スケジュールの変更を余儀なくされる可能性がある.本研究を踏まえ,当施設では右側留置を第一選択としていく方針とした.