2025 年 78 巻 3 号 p. 119-127
【目的】大腸肛門専門病院におけるクローン病(CD)の肛門部病変の臨床的傾向を分析する.
【方法】2004年1月~2023年12月までの20年間で,当院で新たにクローン病と診断した170例が対象である.フォロー期間中央値は49.0ヵ月であり,2004年時点から症例を前向きに追っていくRetrospective Cohort studyである.
【結果】初診時の主訴に肛門の症状を含む症例は90.0%であった.痔瘻手術121例のうち86.8%は手術時にクローン病の確定診断がついておらず,浅い痔瘻に対してはlay open法を基本とした.手術例のうち3分の1が生物学的製剤を投与せずに完全治癒的寛解に至った.開放術式106例中の再発は1例(0.9%)であった.
【結論】CD痔瘻に対して低位筋間痔瘻ではFistulotomy手術を行った症例でも高い治癒的寛解が得られた.今後は前向き比較試験による検証が必要である.