日本大腸肛門病学会雑誌
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結紮器を用いた痔核の結紮療法
荒川 健二郎
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1972 年 25 巻 3 号 p. 205-212,232

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抄録

1950年代にBlaisdell,Barron等によって開発された痔核結紮器は,無麻酔で外来において内痔核を根治せしめ得るので米国で広く用いられている.著者は2098例の痔核(痔核のみ1113,痔核+痔裂543,痔核+痔瘻442)をMcGivney Hemorrhoidal Ligatorを用いて治療した.低位腰麻を行い内痔核部を本器を用いて数カ所(平均3カ所)結紮し,外痔核部は別に手術的に切除する.遠隔成績については未だ報告し得ないが,この療法の結果発生したと思われる肛門狭窄は1例も経験せず,反応性の線維化の少いことは本療法の最大の特長と考える.2次性出血は11例(0.5%)に認められ,6日目より15日目の間に起り縫合を必要とした.結紮を米国で行なわれているように厳密に内痔核のみに限れば,軽度の疼痛・不快感・便意等のみで,Poor riskの患者にも無麻酔で使用出来る.

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