日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸ポリープ様病変の治療方針
矢沢 知海中村 光司長廻 紘饒 熾奇小坂 知一郎生沢 啓芳渡辺 修身金山 成保竹本 忠良
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1974 年 27 巻 4 号 p. 373-377,406

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抄録

大腸ポリープは癌と同様に,S状結腸以下に64.6%の発生をみた.他方,大腸早期癌(粘膜内,粘膜下層まで)32例では,潰瘍型は3例(すべて粘膜下層癌)で,他はポリープ型であった.
そこで,良性,悪性ポリープの内視鏡的術前診断を試みたが,50%程度の癌特有の所見のみしかみられず,また,pedunculatedのものでは,生検でも陰性のことすらある.
故に,polypoid lesionに対する正しき診断はExcision Biopsyによらねばならぬと考え,現在まで48個のpolypを内視鏡下に切除したが,その中に4例の早期癌が含まれている.そこで,subpedunculated,pedunculatedのpolypで,茎1.6mm以下であればすべて内視鏡下にpolypectomyを行ない,組織検査の結果で粘膜内癌は診断と治療がpolypectomyで完了し,粘膜下層癌では腸切除を追加すべきであり,また広基性(Sessile)ポリープでは,癌が生検で証明されたものは,深達度の判断が不可能であること,polypectomyが完全に,安全に施行できないことを考え,粘膜下層癌と同様に腸切除を施行すべきものと考える.

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