日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸癌術前照射に関する研究
特に内視鏡,病理組織学的研究
一宮 博勝
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1978 年 31 巻 4 号 p. 325-336,408

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抄録

直腸癌術前照射の目的は,転移の抑制,腫瘍の縮小,局所再発の予防,手術適応の拡大である.本研究においては,術前照射の効果について内視鏡並びに生検材料,摘出標本組織から精密な検討を加えた.照射効果は内視鏡的には易出血性の改善,腫瘍辺縁隆起の平坦化が最も重要な所見であり,摘出臓器では腫瘍辺縁隆起の平坦化,腫瘍縮小,組織学的に癌腫巣の退行変性,崩解と共に間質合織の増加による癌組織の縮小化が認められた.これら所見は3000radsで改善の傾向が観察されはじめ,4000radsでは全ての所見が内視鏡的,組織学的にも改善されてくる.滝沢のX分類による照射効果判定では3000radsよりX2が増加し,X3と判定した症例は6600rads照射の1例のみであり,6000rads以上照射しても完全消失を認めなかった,従って手術摘応の拡大の目的を達するべき至適線量は内視鏡的にも,組織学的にも3000~6000radsと老える。

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