1982 年 35 巻 1 号 p. 10-14
昭和45年から昭和55年に至る11年間に施行された結腸癌治癒切除例は129例であった.12例に他臓器浸潤がみられ合併切除が施行されたが,組織学的に真の他臓器癌浸潤は8例で他の4例は炎症性癒着に起因するものであった.他臓器浸潤例の部位別頻度は肝彎曲部が最多で結腸癌治癒切除4例中3例であった.リンパ節転移は12例中2例に陽性がみられたのみであったが,脈管侵襲では静脈侵襲12例中9例,リンパ管侵襲12例中10例であった.
遠隔成績は手術死,他病死各1例を除き10例中7例(炎症性癒着3/3,癌侵潤4/7)が生存中であり,予後はかならずしも悲観的でないため,他臓器への癌浸潤が疑われるときは積極的に合併切除すべきと考える.