1984 年 37 巻 2 号 p. 138-144
S状結腸および空腸平滑筋肉腫の重複した非常に稀な症例を報告した.患者は72歳の女性で, S状結腸癌の術前診断にて, S状結腸切除, 左腎, 左尿管, 左附属器などの合併切除が施されたが, さらに術中, 空腸にも腫瘍が発見され同時に空腸部分切除が追加された.切除大腸病変は7.0×7.0×6.0cm, 小腸病変は2.2×1.8×0.5cmで, 病理組織学的に別個の平滑筋肉腫と診断された.
文献的には, 小腸から大腸に及ぶ多発平滑筋肉腫の1例報告をみたのみであり, 稀な症例と考え文献考察を加えて報告した.