日本大腸肛門病学会雑誌
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結核性肛門潰瘍の2治験例
鑑別診断を中心に
谷山 新次更科 広実斎藤 典男布村 正夫新井 竜夫高橋 一昭鈴木 秀奥井 勝二古山 信明樋口 通雄長尾 孝一松嵜 理
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1985 年 38 巻 2 号 p. 161-166

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抄録

最近2例の結核性肛門潰瘍を経験した.症例1の肛門部主訴は肛門部不快感で,肛門部に3.5×3.5cmの浅い潰瘍がみられた.1部は肛門管内におよぶ肉芽組織として認められ,生検や細胞診で悪性所見が得られなかったため潰瘍部試験切除を施行した.病理組織学的検索では結核結節や結核菌が証明され,結核性肛門潰瘍と診断された,
症例2の主訴は腹痛,肛門部痛で,胸部X線上活動性結核性病変を認め,さらに小腸広範にわたる多発性結核性潰瘍を伴なっていた.肛門潰瘍の分泌液培養で結核菌陽性であったため,2次性結核性肛門潰瘍と診断された,難治性肛門潰瘍の診断に際しては,常に本症を念頭におくとともに,治療上他の病因による肛門潰瘍との鑑別が重要であると考えられた.

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