日本大腸肛門病学会雑誌
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早期大腸癌の病理
その時代的変遷
武藤 徹一郎
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1988 年 41 巻 7 号 p. 891-898

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抄録

早期大腸癌の実態を歴史的にたどりその変遷を概説した.早期大腸癌の大多数は腺腫内癌の形態をとっている.外科切除材料の検索から,大きな腺腫ほど癌化率が高く,早期癌の発見率が高いことが明らかにされた.内視鏡的ポリペクトミーの普及によって,早期癌(腺腫内癌)の実数は1-2cmのものが多く,1cm以下の腺腫にも約5%の割合で早期癌が存在すること,さらに,短茎性,無茎性の病変に早期癌が多いことが明らかにされだ.さらに最近の内視鏡検査により,1cm以下の平担腺腫(flat adenoma)の存在が明らかにされ,その中に高率に癌巣の併存することが報告された.またIIc,IIc+IIaなどの病変が存在することが確認され,これらの病変が腺腫由来であるのか,"de novo"癌であるのかが問題にされている.それぞれの病変の真の頻度は今後よく検討されなければならないと考えられる.

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