日本大腸肛門病学会雑誌
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早期直腸肛門癌の外科治療の経験
岩垂 純一隅越 幸男小野 力三郎黄田 正徳宮脇 晴彦山本 清人東 光邦北村 成大
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1988 年 41 巻 7 号 p. 919-926

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抄録

われわれが今までに経験した直腸肛門部の早期癌の治療を振り返り,直腸肛門部の早期癌の治療についての考えを述べた.m癌37例には例外を除いて主として経肛門的に局所切除術を行われていたが全例健在であった.sm癌には初回の手術として29例におもに経肛門的な局所切除が行われ,うち6例にリンパ管侵襲のために追加手切除が行われていた.また24例には初回からリンパ節郭清を伴う根治手術が行われていた.sm癌癌の予後は行方不明,他病死を除いて初回より根治手術を受け肝転移で死亡した2例を除いて全例が健在であった(5年生存率92%).現時点の直腸肛門部の早期癌に対する治療方針としてはIIa+IIc型や,Is,Ip型でも触診で可動性のないものには初回より局所切除を行い,それ以外のものはポリペクトミーや局所切除を行って病理学的に検討しリンパ管侵襲陽性のもの,高分化腺癌以外のものに追加切除を行うのが妥当と考える.

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