日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸子宮内膜症の4例
大川 恵三中島 均近藤 博満須藤 俊之佐野 正明棟方 昭博吉田 豊
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1989 年 42 巻 7 号 p. 1233-1238

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抄録

当科で経験した大腸子宮内膜症の4例を報告した.診断は月経と関連した特徴的な症状や, 外科的手術や婦人科的疾患の病歴聴取と画像診断とで比較的容易になされる.罹患部位は3例が直腸S状結腸移行部, 1例はS状結腸であった.注腸二重造影ではいずれにも蛇の抜殻様の壁の不整と狭窄や, 前下方からの粘膜下腫瘍様の圧排像があった.大腸内視鏡検査では屈曲が強く挿入時疼痛を訴えることが多く粘膜面の変化は軽微であるが, 発赤・粗大穎粒状の像を示す例も見られ, 片側性狭窄を示した.1例にのみ施行した超音波内視鏡検査では高エコーで腸管壁の肥厚・層構造の破壊を示す所見が得られ, 診断に有用であった.大腸部分切除除術を施行した3例は, 組織学的に異所性子宮内膜を証明し得た.1例は臨床的に本症と診断されホルモン療法を施行中である.本症を念頭に置いた詳細な病歴聴取と注腸二重造影および大腸内視鏡像より, 大腸子宮内膜症の診断は可能と考えられる.

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