1990 年 43 巻 3 号 p. 438-442
管状直腸重複症の1例を報告するとともに, 大腸重複症の本邦報告例について文献的に考察する.症例は16歳女性で, 9歳時に腟より中等量の膿性滲出の既往がある.その後無症状に経過したが, 3日前からの腟よりの排便を主訴に近医を受診し, 直腸・腟瘻と診断され当院を紹介された.身体所見上特記すべき変化なく, 注腸造影にて直腸S状部に開口する管状直腸重複を認め, その末梢端は腟瘻と交通していた.直腸・腟瘻を合併した管状直腸重複症と診断し, 重複腸管切除術を施行した.切除標本病理組織検査にて粘膜~筋層を有する消化管壁構造を確認し, 管状直腸重複症と確診した.なお異所性粘膜, 合併奇形は認められなかった.