肛門周辺の疾患は日常数多くみられる.そして研究が進み, 多くの経験をつんで, その病態が次第に解明されてきている.ところがそれらの疾患を女性の立揚から深くとり上げた論文は比較的少ない.排便という動作を行う肛門に, それ程性による差は考えられないと思うが, 発生する種々の疾患の原因や本態を考えていくと, そこに女性特有の問題がひそんでいるように思う.すなわち直腸肛門の筋肉, 支持組織直腸肛門角などの解剖, 排便動態に関する生理, 妊娠分娩, 先天異常その他に関して, 疾患の発生率, 女性特有の疾患がみられる.このような種々の問題をいくつかの項目別にとりあげて検討してもらった.