1990 年 43 巻 6 号 p. 1162-1169
直腸肛門周囲膿瘍およびその疑診例110例に経皮的超音波検査を行い, その診断について検討した.直腸肛門周囲膿瘍の超音波画像の特徴は後方エコーの増強を伴う辺縁が比較的滑らかなcystic patternであった.さらに直腸肛門周囲膿瘍は超音波画像上で浅在型 (S型) 51.8%, 壁在型 (P型) 13.6%, 深在型 (D型) 20.9%と, これらの混合型の4型に分類された.超音波診断と切開時所見とは97.2%の症例で一致した.本検査は従来の理学的診断に比較すると, ほとんど疼痛がなく非侵襲的に施行でき, とくに指診では診断が困難な深部の膿瘍の存在と進展を正確に診断できる有用な検査法と考えられた.