日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸およびS状結腸癌症例における術後男性性機能の研究
白井 芳則
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1991 年 44 巻 3 号 p. 286-294

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抄録

男性の直腸およびS状結腸癌治癒切除症例65例を対象に,アンケート調査(65例),性機能検査(20例)を施行し,骨盤内自律神経温存の程度と術後性機能障害の程度を検討した,アンケート調査より,骨盤内自律神経を全温存した群で性機能は良好であり,術式別では腹会陰式直腸切断術後に機能障害が多く(73.1%),とくに側方郭清施行例に高率(66.7%)であった.性機能検査による分析では,骨盤神経叢損傷の程度が大きい症例に勃起機能障害が高頻度に発生した.射精機能では精液量は術後60%(6/10)の症例で著明に減少し,全温存群においても逆行性射精を高率に認めた.また勃起には神経因子以外の要素である血管因子も関与していうことが示唆された.下垂体,性腺機能では術後FSHの有意な上昇を認めた.以上の結果,アンケート調査により術後男性性機能の実態が把握され,性機能検査はその詳細な評価に有用であった.

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