日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸腟瘻を形成した急性出血性直腸潰瘍の1例
井上 達夫太田代 紀子安康 晴博吉田 基己太田代 安律志村 巌亀岡 信悟
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1992 年 45 巻 3 号 p. 326-329

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抄録

症例は65歳,女性,1989年4月脳動脈瘤破裂に対して他医にてクリッピング手術施行後,5月下旬より水様性下痢が続き,大量下血を生じて,6月10日紹介入院となった.入院時,直腸に多発性の出血性潰瘍を認めたため,IVHおよびサラゾピリン投与による治療を開始した.約1週間の保存的療法で軽快退院し,その後前医にてV-P shunt手術施行。8月上旬,肛門および腟より再出血し,当院再入院となった.コロノスコープ所見では,歯状線に一致して直腸腟瘻を認め,その周囲に地図状潰瘍を認めた.全身状態不良のため,S状結腸人工肛門を造設し局所の安静を図ったところ,止血し,潰瘍の縮小を認めた.本症例は,急性出血性直腸潰瘍と診断したが,直腸腟瘻を形成したものは,本邦に報告例がなく,稀な1例と思われたので,若干の文献的考察を加え報告する.

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