日本大腸肛門病学会雑誌
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潰瘍性大腸炎における糞便中ヘモグロビンおよびアルブミン定量の試み
須藤 一郎小林 智子五頭 三秀木幡 義彰中島 昌人清水 直樹渡辺 浩一井川 守仁片山 麻子佐々木 敬典土屋 和彦竹下 俊隆宮岡 正明斎藤 利彦
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1992 年 45 巻 4 号 p. 384-390

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抄録

潰瘍性大腸炎(以下UC)患者を内視鏡所見および生検組織所見の程度に従い分類し,糞便中のヘモグロビン(以下F-Hb),アルブミン(以下F-Alb)濃度およびその陽性率を比較した.内視鏡所見はMattsの分類に従い,組織所見は炎症性細胞浸潤による組織活動度分類に従い緩解期,活動期(軽度,中等度,高度)に分けた.F-Hb,F-Albは湿糞便1g当り20μg以上を陽性とした.またMattsのgrade3,4群,および組織活動期群の症例において,F-Hb,F-Alb陽性率と白血球増多,血沈亢進,CRP陽性などの炎症所見の陽性率と比較した.さらに低アルブミン血症の有無によるF-Albの濃度と陽性率の比較を行った.F-Hb,F-Alb濃度とその陽性率は,ともにMattsのgrade1,2群に比較しgrade3,4群で有意に高率で,組織分類でも活動度が高くなるに従い高くなった.Mattsのgrade3,4群,組織活動期群におけるF-Hb,F-Albの陽性率は,ともに白血球および血沈の陽性率に比較し有意に高率で,とくに直腸炎型ではどの炎症所見の陽性率より有意に高率であった.低アルブミン血症群のF-Alb陽性率は,低アルブミン血症のない群に比較し高かった.

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