日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
大腸癌におけるAgNOR数およびDNAポリメラーゼα陽性細胞率と臨床病理学的事項の関連についての検討
細井 義行
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 47 巻 9 号 p. 1013-1020

詳細
抄録

大腸癌切除例40例の新鮮凍結連続切片を用いAgNOR dot数,DNAポリメラーゼα陽性細胞率(positive rate:PR)を算出した,これらと臨床病理学的事項との関連性,およびAgNORとDNAポリメラーゼαとの相関性を解析した.臨床病理学的事項との関連では,AgNOR数は肝転移陽性例は陰性例に対して,リンパ節転移陽性例は陰性例に対して有意に高値を示した(p<0.05).Dukes'stageに関しても有意の関連を認めた(p<0.05).DNAポリメラーゼα PRでは臨床病理学的事項との間に有意の関連を認めなかった.またAgNORとDNAポリメラーゼαの間に相関性をみなかった.以上より,AgNORは細胞増殖に直接関与する因子ではなくDNAポリメラーゼαとは独立した因子であることが示唆された.また肝転移,リンパ節転移を予測する指標となり得ることが示された.

著者関連情報
© 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top