1995 年 48 巻 9 号 p. 1076-1079
直腸癌局所再発15例に,化学療法(3例),放射線化学療法(5例),温熱併用放射線化学療法(7例)を施行し,その効果を比較検討した.延命効果に差は認めなかったが,温熱併用療法により3例のPRを得た.放射線化学療法,温熱併用放射線化学療法は局所症状緩和には有効で,とくに術後放射線治療を受けた再発例に対し,温熱併用放射線化学療法は効果があった.化学療法,放射線化学療法群の直接死因のほとんどは局所再発部からの進展による癌性腹膜炎や水腎症であったのに対し,温熱併用群では遠隔転移が過半数を占めた.温熱治療を併用することにより局所再発巣はより制御できるものの,遠隔転移を防止することが今後の課題と思われる.