日本大腸肛門病学会雑誌
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非中毒性巨大結腸症を伴ったクローン病の1例
根本 充千葉 泰彦小尾 芳郎高橋 利通浜口 洋平福島 恒男
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1996 年 49 巻 5 号 p. 378-383

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抄録

クローン病における巨大結腸症の報告はほとんどが中毒性巨大結腸症であり, 非中毒性巨大結腸症は非常に稀である.われわれは非中毒性巨大結腸症を伴ったクローン病の1例を経験したので報告する.症例は41歳, 男性で, 21歳の時, 下痢を主訴に近医を受診し, 大腸型クローン病と診断された.薬物栄養療法を38歳まで受けていたが, その後放置していた.1994年10月31日腹部膨満感の精査で腹部単純X線写真上, 最大径22cmの巨大結腸を認め, 11月14日当科紹介入院となった.高カロリー輸液を中心とした保存的治療を開始し, 約1カ月後, 大腸亜全摘術, 回腸人工肛門造設術を施行した.摘出された大腸は, 全長32cm, 横径25cmと著しく短縮し, 深く長い縦走潰瘍を伴っていたが機械的閉塞はなかった.拡張部では炎症所見は軽度で, 線維化による肥厚も含め筋層の肥大を認め, 慢性炎症による腸管の機能的障害が原因と考えられた.

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