1996 年 49 巻 9 号 p. 1093-1099
大腸癌肝転移症例22例を2群に分類し, 肝動注療法を施行した. A群は肝転移巣に準治癒切除 (根治度B) を行い得たH1, H2症例11例, B群は非治癒切除もしくは非切除症例11例 (全て同時性) とした. 各群に対して持続肝動注療法 (5-FU 180mg/m2/day, CDDP 20mg/2 week) もしくはWHF (weekly high dose 5-FU) +CDDP肝動注療法 (5-FU 1000mg/m2/week, CDDP 10-20mg/2 week) を行った. A群については観察期間が短いため対照群と有意差を認めなかった. B群に奏功率は63.7%で, 50%生存期間は21カ月 (5-28) であった. 主に間欠動注を行った対照群に較べると累積生存率において有意差 (P<0.01) を認めた. 肝転移巣が最も縮小するか, CEA最低値を示すまでに投与した平均薬剤量は5-FU : 14.5g, CDDP : 82.2mgであり, 動注量の目安になると考えられた.