1998 年 51 巻 8 号 p. 581-584
症例は42歳男性,1992年発症の潰瘍性大腸炎で難治のため,1996年4月26日に結腸全摘,回腸人工肛門造設,10月4日に直腸切除,J型回腸嚢肛門管吻合術を施行された.1997年4月,下血が出現,下部消化管内視鏡検査ではJ型回腸嚢作成時のlinear staplerに沿って潰瘍を認めそこからの出血であった.絶食、ステロイド坐剤により短期間で軽快するが5月,6月と下血を反復するため,6月4日に回腸人工肛門を造設した.潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘,J型回腸嚢肛門管吻合術後の下血に際してはpouchitis以外にも本症例のような場合もあることも念頭に置く必要があると思われた.