日本大腸肛門病学会雑誌
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3.左側大腸癌イレウスに対する経内視鏡的減圧
岡 壽士石田 康男町田 宏伊津野 久紀仲吉 昭夫
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1999 年 52 巻 10 号 p. 1070-1076

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抄録

左側大腸癌イレウスの治療は経口的腸管減圧が不可能なので手術が第一次選択となるが, 手術にあたって閉塞の解除と癌の根治性との両面を考慮して行われなければならならない.腸管減圧がなされていないまま手術を行うと, 拡張した腸管のために, 手術操作が困難となり, 根治性が低下する.経内視鏡的減圧治療は1986年にLelucukらによりS状結腸癌の患者に食道拡張用のバルーンを使ってはじめて行われた.現在, 市販のキットを使っての挿入方法は, まず内視鏡的直視下にガイドワイヤを腫瘍の狭窄部を越えて挿入し, ダイレータで狭窄部を拡張したのちに経肛門的にイレウス管を留置する.腫瘍の口側に貯留した腸内容を排除しイレウス症状を解除し待期手術を行える.実施上の問題として, 挿入時のガイドワイヤーによる大腸穿孔とその後留置されるバルーンの圧迫による腸管粘膜の壊死が発生するが, 市販のキットでは, 合併症の発生に対する考慮がなされている.治療内視鏡の観点から, 内視鏡を用いた誘導操作は減圧のみならず, stentingの他に術後の器械吻合の狭窄などに対するバルーン拡張などに広く使用できその操作は確実で効果的である.

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