1999 年 52 巻 4 号 p. 332-336
今回虫垂にポリープおよび憩室を合併したPeutz-Jegehrs症候群 (P-JS) の1例を経験したので報告する・症例は28歳の女性.主訴は下腹部痛で, 口唇および四肢に色素斑を認め, 下腹部に弾性硬, 可動性のある腫瘤を触知した.腹部超音波検査などで腸重積症および汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を施行したところ, 重積した小腸が壊死に陥っていたため約130cmの長さの小腸切除術を施行した.術中切除小腸を観察したところ先端部に分葉状に有茎性のポリープを認めたためP-JSを疑い, さらに検索したところ嚢状に腫大し内腔に腫瘤を触知する虫垂を認めたため虫垂切除術を併施した.虫垂の内腔はムチン様物質が充満し粘液嚢腫を呈しており, 中央部に直径約20mmと15mmのポリープを1個ずつ認めた.病理組織学的には過誤腫であった.また虫垂先端部に仮性憩室を認め, 虫垂ポリープが原因であると推測された.