日本大腸肛門病学会雑誌
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7.大腸sm癌の内視鏡的摘除後の再発,転移例の検討
五十嵐 正広勝又 伴栄小林 清典佐田 美和S. Yosizawa
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2002 年 55 巻 10 号 p. 878-883

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抄録

当院で経験した内視鏡的摘除を行ったsm癌189病変を対象に内視鏡的摘除後の再発と転移について検討した.内視鏡的摘除後の局所再発例は1例(0.53%)であった.リンパ節転移例は内視鏡的摘除後追加腸切除を行った60例中5例(8.3%)に見られたが,遠隔転移例は認めなかった.当院でのsm癌の内視鏡的摘除の適応はsmS癌(粘膜筋板から1,000μm以内の浸潤癌).追加腸切除の基準は,smD癌(粘膜筋板から1,000μm以深浸潤癌),断端陽性,脈管侵襲陽性,低分化型癌,癌先進部に籏出陽性としている.再発や転移のリスクはこれまでの基準で予防可能と考えられるが,over surgeryをできるだけ防ぐ新たなリスクファクターの抽出が今後の課題である.また,sm癌の内視鏡的摘除後には,局所再発や異時性癌の監視のための内視鏡検査によるサーベイランスが必要と考えられる.

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