日本大腸肛門病学会雑誌
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腹腔鏡下直腸吊り上げ固定術が75歳以上の高齢者完全直腸脱患者に与える影響
衣笠 哲史黒水 丈次豊原 敏光竹尾 浩真宮崎 道彦
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2003 年 56 巻 3 号 p. 128-131

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抄録

目的:経腹的直腸固定術の術後成績は良いが高齢者には侵襲が高いとされる.今回,腹腔鏡下直腸固定術が高齢者にどの程度手術侵襲を与えるか検討した.
対象と方法:75歳以上の完全直腸脱の患者で腹腔鏡下直腸固定術をうけた10例を対象とした.結果:平均81.3歳,男女比1:9であった.平均手術時間は305.4分で術後鎮痛剤は20%の症例で使用せず,使用例では平均術後1.3日目までであった.術後SIRSの状態は0~2日間(平均0.9日間)認めるにとどまり,重篤な病態や合併症は認めなかった.離床は平均2.2日(2日以内に70%)であり,術後にせん妄の発症を認めたのは1例のみで,しかも一過性であった.直腸脱の再発は認めていない.
まとめ:本術式は低侵襲で再発なく安全な手術方法と思われる.

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