2005 年 58 巻 10 号 p. 891-896
240例のCrohn病手術例のうち,狭窄形成術は計151例に対して行い,2回目手術以降は狭窄形成術施行例の比率が増加していた.施行部位は,回腸,大腸,回盲弁などに行われ,回腸がもっとも多い適応部位であったが,2回目以降の手術では前回吻合部,前回狭窄形成部に対しても狭窄形成術が行われた.施行術式は,Heineke-Mikulicz法が最も多いが,病変の長さ,固さに応じて他の術式も行われた.狭窄形成術の長期成績を累積再手術についてみると,手術施行部位では狭窄形成部と吻合部とで差はなく,症例毎でも狭窄形成術併用群と,腸切除単独例とでも差はなかった,また,狭窄形成術併用群と腸切除単独群との比較では,病変長が長いにもかかわらず切除腸管の長さ,残存小腸長に差はなく狭窄形成術による腸管温存効果が認められた.狭窄形成術は,腸管温存効果も見られ,繰り返す狭窄性小腸病変には良い適応で切除に匹敵する成績が得られた.