2005 年 58 巻 7 号 p. 407-410
著者らは,21例の小児遺糞症患児における臨床症状ならびに腹部単純X線像と宿便の除去方法の関係について検討した.これら患児の便塊は巨大で極めて硬く,しばしば肛門より通常に排便することが困難であった.このためi)グリセリン浣腸,ii)頻回の洗腸,iii)高圧浣腸,iv)鉗子等の器械を用いた便破砕からなる段階的便塊排出処置を計画し行った.今回の検討では,小児遺糞症患児の診察時,overflow incontinenceを認め,かつ腹部単純X線写真で結腸内の便塊横径が5.5cm以上ある場合には,入院の上,ii)~iii)の処置が必要であった.さらに9cmを超える例ではiv)の破砕処置が必要であった.小児の遺糞症例に対しては上記指標をもとに宿便除去を的確に施行し,その後に,消化管運動異常を伴う器質的疾患の精査を行うべきと考えられた.