抄録
症例は72歳の男性.56歳時,経皮的冠動脈形成術を施行された際,左前下行枝が解離により閉塞したため緊急冠動脈バイパス術(Ao-SVG-#7,Ao-SVG-#9-#14,Ao-SVG-#4PD)を施行された.定期評価でAo-SVG-#7,Ao-SVG-#4PDのグラフト閉塞とAo-SVG-#9-#14グラフトの中枢側に狭窄を認め,再冠動脈バイパス術を施行した.手術は左第5肋間前側方開胸アプローチ,PCPS補助下でLITA-RA I-composite graftを#14に側々吻合し,引き続き#4PDに端側吻合した.Redo CABGにおいては,適切な到達経路,使用グラフトの選択,バイパスグラフトデザインを選択することが重要であり,左開胸アプローチ,composite graftを用いたグラフトデザインは有効な術式の一つと考えられた.