日本冠疾患学会雑誌
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症例報告
シロリムス溶出性ステントを留置後に巨大冠動脈瘤を生じ,超遅発性ステント血栓症を発症した1例
齋藤 千紘田中 博之麻喜 幹博磯貝 俊明上田 哲郎
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2013 年 19 巻 1 号 p. 22-26

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抄録
症例は43歳男性.心不全で入院し,その際左前下行枝近位部の慢性完全閉塞に対して,シロリムス溶出性ステントを留置した.EF 25%の低心機能であることから,抗血小板剤2剤に加え,ワーファリンも内服開始した.1年半後の冠動脈造影でステント留置部位に最大径7 mmの冠動脈瘤形成を認めたため,抗血小板剤2剤とワーファリン内服を継続し経過観察した.しかし3年後,飲酒後の嘔吐,全身倦怠感を主訴に外来を受診.亜急性心筋梗塞と診断し,緊急冠動脈造影を施行した.ステント内血栓症を認め,血栓吸引とバルーン拡張,BMS留置により再疎通した.その際,瘤化だけでなく,ステントフラクチャーを認めた.本症例では,冠動脈瘤形成によるstent malappositionとステントフラクチャーの両方を認めており,抗血小板剤2剤とワーファリン内服下にてもステント留置3年後に超遅発性ステント血栓症を認めたので報告する.
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© 2013 日本冠疾患学会
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