日本冠疾患学会雑誌
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症例報告
心筋ブリッジが原因と疑われた急性冠症候群の1例
森田 雄介加藤 貴雄
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2013 年 19 巻 2 号 p. 133-137

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抄録

症例は57歳,男性.安静時に左肩に放散する前胸部痛が続き,心電図でST低下,洞性頻脈を認め,当科紹介となった.心筋逸脱酵素の上昇や局所壁運動異常を認めなかったが,胸痛とST低下から急性冠症候群を疑った.緊急冠動脈造影検査では有意狭窄を認めないが,収縮期に左前下行枝中部のsqueezing現象を認めた.123I-BMIPPシンチグラフィーでは前壁中隔の集積低下を認め,心筋ブリッジによる心筋虚血と考えた.ビソプロロール開始により運動負荷心電図において虚血性変化が誘発されなくなったことを確認した.心筋ブリッジでは冠動脈が収縮期圧排を受けるsqueeze現象を認めることがあり,ときに狭心症状を来す.本症例では頻脈が心筋虚血の増悪因子と考えられ,123I-BMIPPシンチグラフィー及び運動負荷心電図が心筋虚血の評価に有用であった.

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© 2013 日本冠疾患学会
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