Zairyo-to-Kankyo
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アルカリ性水溶液を含む圧縮ベントナイト中での炭素鋼の耐食性に及ぼす微量合金元素の影響
小池 充広谷 卓也赤尾 昇原 信義杉本 克久
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2006 年 55 巻 10 号 p. 445-451

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抄録

高レベル放射性廃棄物の地層処分に使用されるオーバーパック容器の材料としては, 炭素鋼が最も有力な候補であると考えられている. 本研究では, 地層処分環境における炭素鋼の耐食性に及ぼす合金元素の効果を明らかにすることを目的として, pH 8からpH 13までの塩化物含有アルカリ性模擬ベントナイト接触水を含む圧縮ベントナイト中で市販の炭素鋼および各種合金元素を1種類含む低合金鋼9種類の腐食試験を行った. その結果, pH 8から12の溶液を含む圧縮ベントナイト中で最も耐食性を向上させる合金元素はNiであることが分かった. 次いで良いのはAlであった. Ti, Cr, Si, Cu, Nbの添加はごくわずか耐食性を向上させた. 逆に, Moの添加は耐食性を低下させた. pH 13ではMoおよびSi添加鋼を除くいずれの試料も不働態化し, 合金元素の種類による耐食性の違いは小さかった. いずれの試料についてもpH 8から12の環境中では腐食生成物層としてFeCO3層の生成が認められた.

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© 2006 公益社団法人 腐食防食学会
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