Zairyo-to-Kankyo
Online ISSN : 1881-9664
Print ISSN : 0917-0480
ISSN-L : 0917-0480
論文
海洋で20年間暴露された有機被覆鋼材の耐久性
山本 正弘加治木 俊行松岡 和巳今福 健一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 55 巻 6 号 p. 239-244

詳細
抄録

多くの海洋構造物は有機樹脂被覆により防食されている. 近年LCC削減が望まれ, 防食被覆材の劣化推定が重要視されてきた. 約25種類 (n =2) の有機被覆鋼材が沖縄県宮古島の海岸に20年間暴露された. 評価結果を以下にまとめる.
1) 暴露試験場での各種モニタリング手法が検討されたが, 有効な結果が得られなかった. 今後, 新たなモニタリング手法が望まれる.
2) 暴露試験の結果と実験室的加速試験の結果を比較してみると, 飛沫部でのスクラッチ傷からの腐食進展とSSTでのさび幅, そして, 干満・海中部での密着力変化と回転浸漬試験での結果に対応が認められた. このように, 環境ごとに適切な促進試験を選択することで, 劣化予測も可能である.
3) 塗膜劣化部の塗膜とさびを除去した後の鋼材の深さ測定結果より, 海中部での腐食深さが干満・飛沫部よりも大きいことが分かった. これは塗膜をカソードとし, 欠陥部をアノードとするマクロセルの影響によると考えられる.
そのため, 海洋での防食鋼材の劣化では, マクロセル形成の影響を考慮する必要がある.

著者関連情報
© 2006 公益社団法人 腐食防食学会
前の記事 次の記事
feedback
Top